看護師も残業代をもらえる、労働基準法とみなし残業の注意点

はじめに

長時間労働や過重労働、時間外手当の不支給などによって労働者の負担が増加しうつ病の発症や過労死などが社会問題化しています。
こうした問題に対して日本政府は働き方改革関連法案などを成立させ長時間労働の是正や労働者の待遇の改善に取り組むようになってきました。
しかし人員不足や経費が不足していること、会社の経営状況の悪化から残業代を支払っていない企業はまだまだ多数あるようです。
そして看護師の世界でも残業代を支払っていない病院が多く存在し、みなし残業を行っている看護師が多数いるというブラックな状況が発生しています。
今回の記事では残業代について定められているルールや看護師が残業代を確実に支払ってもらうための方法についてまとめてみました。

残業代のルール

時間外労働は厳密に言うと2種類に分けられています。
一つ目は「法定時間労働」で、1日8時間、週に40時間と労働基準法で定められた労働時間を超えて行われた残業のことを言います。
二つ目は「法内残業」と言い、会社が定めた所定労働時間を超えて、労働基準法で定められた労働時間以内の範囲で行われた残業のことを言います。
この二つを時間外労働の割増賃金の支払い義務があるのは法定時間外労働のみとなっています。
法内残業については労働契約または就業規則によっていくら時間外の賃金が支払われるかどうかというのを企業ごとに定められています。
残業代の計算方法は、時間外労働の時間数に1.25倍を乗じた金額を支払うように定められています。
また、残業代の労働時間の計算は原則として1分単位で行わなければならないと定められているので「30分未満の端数は切り捨て、30分以上の発生は30分」と計算する方法は認められておらず、労働基準法違反にあたります。
さらに、残業代は時給のみから換算するのではなく家族手当は扶養手当、通勤手当や住居手当などを含めた金額、つまり月収を1ヶ月あたりの平均労働時間で割った金額から計算するようになっています。
休日出勤をした場合の残業代の計算方法は、1時間あたりの賃金に1.35を乗じた時間で計算するように定められています。
休日に出勤したからといって通常の1.25倍で計算されている場合は、 残業代が少なく支払われている可能性がありますので確認しておきましょう。
深夜労働の残業代に関しては、1時間あたりの賃金に1.5を乗じた時間で計算するようになっているので、深夜まで残業をした方はさらに多くの残業代がもらえるようになっています。

残業代以外に夜勤手当も

看護師は病院や施設の場合は24時間スタッフが常駐していることが多いですので、2交代制3交代制を導入しているところも多いでしょう。
そのような職場で働いている場合は、必然的に深夜時間帯に労働することになるので、割増賃金をもらえることになっています。
深夜時間帯というのは22時から5時のことを言いますので、その時間に勤務をしている看護師は通常の給与よりも1.25倍多くの給与を受け取ることができるようになっています。
そのため、日勤や遅出で夜勤時間まで残業をした看護師は深夜時間帯までの残業代に加えて夜勤手当中の給与ももらうことができるという仕組みになっています。

残業代が出ないことはあり得ない

ところが、残業代を請求するために上司に相談したところ「労働契約の残業代は出ないことになっている」「あなたの給与に残業代がすでに含まれている」などと言われてしまい、残業代の請求を諦めてしまう看護師も多いようです。
また、「うちの施設は変形労働制を取り入れてるから残業代は出ません」といった施設や病院もあるようです。
変形労働時間制を取り入れることで、1ヶ月や1年、1週間以内などの一定期間において労働基準法上の法定労働時間となっている1週あたり40時間を超えていなければ、1日8時間、一週間で40時間を超えて労働させることが認められているという働き方が可能になっています。
しかし、変形労働時間制を取り入れていると言っても所定労働時間を超過して勤務した部分については当然残業代が発生しますので、その分に関しては残業代を請求することが可能になっています。

労働基準監督署に相談

このように法定労働時間数を超えた部分に関しては残業代を支払う義務が発生しているにもかかわらず、様々な理由をつけて残業代を支払わないと言った病院や施設が多く存在しているという状況です。
私も看護師長や総務課に相談しても残業代を支払ってくれなかったため、労働組合に相談するなどして交渉をしたという経験があるのですが、「自分たちも残業代をもらわずに仕事してるんだからしょうがない」といった理由で残業代請求を諦めざるを得なくなったという経験があります。
このように職場前で解決を試みても残業代を支払ってもらうことができなければ、自分の病院の管轄の労働基準監督署に相談してみることをお勧めします。
労働基準監督署はこのような労働問題に対して法的な視点を持ち合わせており、客観的に時間外勤務をしたという事実が証明できる証拠があれば、職場に立ち入り調査をしてくれたり、残業代を適正に支払うように通告してくれると言った対処をしてくれます。
それでも残業代を支払わないといった職場に対しては罰則を適用するなどといった手段を取ってくれますので、職場内で解決できない問題であれば労働基準監督署に相談してみるといった方法も検討してみると良いでしょう。

弁護士に相談

大抵の病院や施設であれば労働基準監督署に相談することで病院や施設に対して指導が行き、その指導にしたがって残業代を支払ってくれるところがほとんどですが、なかなか個人で労働基準監督署に相談しに行く時間や勇気が無いという方もおられるかもしれません。
労働基準監督署に相談する場合は、タイムカードや業務報告書などの客観的に証明できる書類が必要になってきます。
それらの証拠書類をを自分で準備し提出することで初めて労働基準監督署が動いてくれるということになるので、証拠集めから職場への交渉などを全て自分で行わなければならないといったデメリットがあります。
また、労働基準監督署が病院や施設に指導する際に、自分が相談したことが職場にバレてしまったりすることで上司や周りのスタッフとの関係が悪化してしまうというリスクもあります。
できるだけ今まで通り仕事を続けながら残業代ももらえるようにするためには、法律のプロである弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士に相談することで必要な証拠書類やデータなどのアドバイスを的確にもらえるため、自分で調べたり労働基準監督署に相談するといった手間も省けますし、個人情報に関しても配慮してくれながら職場との交渉を進めてくれるといったメリットがあります。
看護師は法律に関する知識が豊富なわけではないので、忙しい業務や不規則な勤務体制の合間を縫って必要な証拠をスムーズに集めて職場と上手く交渉していくためには、弁護士の力がとても頼りになるでしょう。
しかし最終的には、個人で残業代を請求していくことになるわけですので、残業代の請求者や残業代の支払対象者の身元は職場や上司には明かさなくてはなりません。
違法な残業が長期間続いたことや、これからも適正に給与を支払ってもらいたいという明確な意志があれば、きちんと残業代を支払ってもらえるように交渉していくことが必要になってきます。

いずれにせよ転職が近道

いかがでしたでしょうか。
残業代の支払いに関しては法律で明確に定められているので、残業を行った看護師に対しては適切に残業代を支払う義務があります。
しかし様々な理由をつけて残業代が支払われなかったり、残業代を支払ってもらうためには自分で証拠を集めて行動を起こさなければ手に入れることができないといった困難さも明らかになりました。
忙しい業務やシフトをこなしながら必要な証拠を集め、上司や職場、労働基準監督署に相談するというのも残業代を請求する側の看護師にとってはかなり負担になってしまいます。
まして弁護士に相談するなどということになると、職場の上司との関係性が悪化してしまったり、職場での居心地が悪くなってしまうということも考えられるため、躊躇してしまう看護師も多いのではないでしょうか。
残業代を支払ってもらうための交渉を長く続けていくと業務に集中できないばかりか、休みの日までも残業代を支払ってもらうための手続きを進めなければならないといったストレスに悩まされ、体調を崩してしまうことも考えられます。
転職エージェントの視点から意見を述べさせてもらうと、転職先を紹介したにも関わらずその看護師がすぐに退職してしまうと、実を言うと転職エージェントのもらえる収入が変わってくるのです。
そのため、必然的に転職エージェントは職場環境の良い病院や施設を紹介してくれやすいという傾向にあります。
職場環境の良い病院や施設ですと、人間関係が良い職場を選んでくれたり、業務内容が自分に合った職場を選んでくれたり、給与体系がしっかりしる、残業代を確実に支払ってくれるなど、働く側の看護師にとってメリットの大きい仕組みの整った職場を紹介してくれやすくなっています。
「看護師として仕事を長く頑張っていきたいけれども、働いたぶんの残業代はしっかり支払って欲しい」「自分は仕事を進めるペースがゆっくりなので、時間外に仕事が残ったとしてもきちんと残業代を支払ってくれる職場に転職したい」という思いを持った看護師も多いのではないでしょうか。
そのような看護師は、今の職場で面倒な手続きを踏みながら残業代を支払ってもらえるよう交渉するよりも、迷わず転職を選んだ方がスムーズに解決するかもしれません。

今なら転職祝い金35万円、おすすめエージェント

★転職支援金が最大35万円が貰える
全国対応、高額案件も
業界最多の求人数、3万件以上

この記事を読んだ人はこんな記事を読んでいます

看護師の転職、面接での自己PR、長所短所の答え方事例
看護師の転職、おすすめの時期は?

  • ランキング

Fatal error: Uncaught Error: Call to undefined method Error::shutdown_handler() in /home/users/0/oshin333/web/corp/kuchicole.jp/fuel/core/bootstrap.php:77 Stack trace: #0 [internal function]: {closure}() #1 {main} thrown in /home/users/0/oshin333/web/corp/kuchicole.jp/fuel/core/bootstrap.php on line 77